【結論】年末調整は3つの申告書で完結する
「年末調整、結局どこに何を書けばいいの?」と毎年迷っていませんか。年末調整は毎年11〜12月に勤務先で行う1年間の所得税精算手続きで、還付金が返ってくるか・追加徴収されるかを決める重要なイベントです。
結論として、年末調整で記入する書類は次の3つだけです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 — 翌年分の扶養家族を申告
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 — 本人と配偶者の所得を申告
- 給与所得者の保険料控除申告書 — 生命保険・地震保険・iDeCo等を申告
3枚を正しく書ければ、それだけで年間数万〜十数万円の還付につながります。2026年版の最新ルールで解説します。
- 年末調整の3つの申告書、それぞれの書き方
- 扶養親族・配偶者控除・保険料控除の判定基準
- 住宅ローン控除2年目以降の年末調整での処理
- 控除証明書の準備リストと提出時期
- よくある書き間違い10選と還付金の目安
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手取り計算ツールで詳しく計算する給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
通称「マル扶」、年末調整で最初に書く申告書です。翌年分の扶養関係を会社に申告する書類で、本年分は12月に異動の確認をします。記入欄は本人情報・源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族(16歳以上)・16歳未満の扶養親族の4ブロックです。
扶養親族の判定基準
その年の12月31日時点で生計を一にし、合計所得金額48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)の親族が対象です。青色・白色事業専従者は除きます。
大学生のお子さんがアルバイトで年103万円を超えると、扶養控除(特定扶養親族で63万円控除)が外れて親の税負担が年10万円以上増えることも。12月のシフト調整が鉄則です。
同居老親等・特定扶養親族のチェック
| 区分 | 年齢(12/31時点) | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
| 老人扶養親族(同居老親以外) | 70歳以上 | 48万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上で同居 | 58万円 |
該当区分のチェックを忘れると控除額が減るので必ず確認しましょう。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
3つの申告書が1枚にまとまった、年末調整で最も間違いやすい書類です。ブロックごとに整理します。
ブロック1: 給与所得者の基礎控除申告書
本人の所得から基礎控除(最大48万円)を受けるための申告です。給与の収入金額(1〜12月の額面総額)と所得金額(給与所得控除後/裏面の早見表で計算)を記入し、合計所得900万以下/〜1,000万以下/1,000万超で区分判定します。合計所得2,500万円超は対象外です。
ブロック2: 給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者がいる場合、本人と配偶者双方の所得を記入して控除区分を判定します。
| 配偶者の合計所得 | 本人の合計所得900万以下のときの控除 |
|---|---|
| 48万円以下(給与103万以下) | 配偶者控除 38万円 |
| 48万超95万以下(給与150万以下) | 配偶者特別控除 38万円 |
| 95万超133万以下 | 配偶者特別控除 36〜3万円(段階縮小) |
| 133万超 | 控除なし |
本人の合計所得が900万超の場合、控除額は段階的に縮小し、1,000万超で控除ゼロになります。
| 項目 | 独身 | 配偶者あり |
|---|---|---|
| 年間手取り | 306.1万円 | 312.5万円 |
| 月間手取り | 25.5万円 | 26.0万円 |
| 社会保険料 | 59.9万円 | 59.9万円 |
| 所得税 | 12.1万円 | 9.1万円 |
| 住民税 | 21.9万円 | 18.6万円 |
| 実効税率 | 23.46% | 21.88% |
※ 東京都在住・30歳・ボーナスなしで試算。概算値のため実際とは異なります。
ブロック3: 所得金額調整控除申告書
給与収入850万円超かつ、本人が特別障害者/23歳未満の扶養親族がいる/扶養親族が特別障害者のいずれかに該当する場合のみ記入します。該当しなければ空欄でOK。
給与収入850万超で23歳未満の子がいる家庭は**所得金額調整控除(最大15万円)**が使えます。共働きでも夫婦両方で申告できる珍しい控除です。
給与所得者の保険料控除申告書
通称「マル保」。生命保険・地震保険・社会保険・iDeCoなどの所得控除を申告する書類で、10〜11月に届く控除証明書を見ながら記入します。
生命保険料控除(最大12万円)
2012年以降の「新契約」は3区分それぞれ最大4万円・合計12万円まで控除されます。
| 区分 | 対象 | 上限 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 死亡保険・終身保険等 | 4万円 |
| 介護医療保険料 | 医療保険・がん保険等 | 4万円 |
| 個人年金保険料 | 税制適格特約付き個人年金 | 4万円 |
旧契約(2011年以前)は2区分で各5万円・合計10万円が上限。
地震保険料控除(最大5万円)
地震保険料は**全額(最大5万円)**が控除対象。火災保険のみの契約は対象外です。
社会保険料控除(全額控除)
国民年金・国民健康保険・任意継続保険料を本人や生計を一にする親族の分として支払った金額は全額所得控除。配偶者・子の国民年金を本人が払った場合も対象です。国民年金は控除証明書の添付が必須です。
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)
iDeCoの掛金は全額所得控除。「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付します。
| 項目 | 独身 | 配偶者あり |
|---|---|---|
| 年間手取り | 449.5万円 | 458.5万円 |
| 月間手取り | 37.5万円 | 38.2万円 |
| 社会保険料 | 88.1万円 | 88.1万円 |
| 所得税 | 27.4万円 | 21.7万円 |
| 住民税 | 35.0万円 | 31.7万円 |
| 実効税率 | 25.09% | 23.59% |
※ 東京都在住・30歳・ボーナスなしで試算。概算値のため実際とは異なります。
月2.3万円(会社員の上限の一例)×12カ月 = 年27.6万円のiDeCoを所得税率20%・住民税率10%の人が拠出すると、年8.28万円の節税になります。年末調整で必ず証明書を添付しましょう。
住宅ローン控除(2年目以降)の記入
住宅ローン控除は1年目だけ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で完結します。年末調整では次の2点を会社に提出します。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 — 入居年に税務署から残り年数分まとめて送付
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 — 借入先金融機関から10〜11月に届く
申告書には年末残高を記入し、**残高×0.7%(限度額あり)**で控除額を計算します。事前印字部分(居住開始年月日・取得対価)は手書きしないのが原則です。
2年目以降の申告書は残り年数分まとめて1冊で届きます。なくすと再発行に2週間ほどかかるので大切に保管しましょう。
控除証明書の準備(生命保険・地震保険・iDeCo等)
年末調整で控除を受けるには、証明書の原本を申告書に添付する必要があります。10〜11月に届くハガキはまとめて1つの封筒に保管しましょう。
| 控除種類 | 発行元 | 届く時期 |
|---|---|---|
| 生命保険料控除証明書 | 各保険会社 | 10月中旬〜11月 |
| 地震保険料控除証明書 | 損害保険会社 | 10〜11月 |
| 国民年金保険料控除証明書 | 日本年金機構 | 11月初旬 |
| iDeCo掛金払込証明書 | 国民年金基金連合会 | 10月下旬 |
| 住宅ローン年末残高証明書 | 借入先金融機関 | 10〜11月 |
紛失時は発行元に再発行を依頼。電子年末調整対応の会社なら、マイナポータル等から電子データを再取得できます。
よくある書き間違い10選
頻発する記入ミスを最終チェックに。
- マイナンバー欄が空欄(本人・扶養親族双方)
- 配偶者の所得を「収入」で書く(所得=収入−給与所得控除)
- 16歳未満の子を控除対象扶養親族の欄に記入(16歳未満は別欄)
- 大学生の子を「一般の扶養」にチェック(正しくは特定扶養親族63万円)
- 同居の70歳以上の親で「同居老親等」チェック漏れ(48万→58万円)
- 配偶者の合計所得を給与収入のまま記入(103万→所得48万に変換)
- 生命保険料控除で区分上限超え(各4万円が上限)
- iDeCo掛金を「生命保険料控除」に記入(正しくは小規模企業共済等掛金)
- 国民年金保険料を控除証明書なしで記入
- 押印漏れ(2021年以降不要だが会社独自で求められる場合あり)
書き間違いの多くは**「収入」と「所得」の混同**から起きます。基礎控除申告書の裏面の早見表を必ず使いましょう。
年末調整で還付される金額の目安
毎月源泉徴収された所得税の精算で還付金が振り込まれます。還付されやすいのは、生命保険・iDeCo掛金がある/年途中で扶養が増えた/住宅ローン控除2年目以降/途中入社で前職分の源泉徴収があるケースです。
還付金の概算目安(年収500万円・税率10%)
| 主な控除内容 | 還付金の目安 |
|---|---|
| 生命保険料控除(合計12万円) | 約1.8万円 |
| iDeCo(年27.6万円拠出) | 約8.3万円 |
| 配偶者控除(38万円) | 約5.7万円 |
| 住宅ローン控除(残高3,000万円) | 21万円(税額控除) |
FAQ
Q. 副業がある場合、年末調整だけで済む?
副業の所得が20万円超なら確定申告が必要です。年末調整は本業の給与のみが対象。
Q. 12月に転職した場合、年末調整はどちらでやる?
12月時点の勤務先で行います。前職の源泉徴収票を提出して合算精算します。
Q. 扶養に入れる親の年金収入はどう判定する?
公的年金等控除を引いた後の合計所得で判定。65歳以上なら年金158万円、65歳未満なら108万円までが目安。
Q. 共働きで子の扶養はどちらにつけるとお得?
所得が高い側につける方が節税効果が大きいのが基本(高い税率で控除されるため)。
Q. 書き漏れた控除は、後から取り戻せる?
5年以内なら確定申告で取り戻せます。医療費控除・寄付金控除・初年度の住宅ローン控除はもとから確定申告が必要です。
まとめ
年末調整の3つの申告書は1年間の所得税を正しく精算する重要書類です。
押さえるべき3つのポイント:
- 3つの申告書の役割を理解(扶養関係/所得&配偶者/保険料)
- 「収入」と「所得」を区別し、配偶者・扶養親族を正確に判定
- 控除証明書は10〜11月に整理、紛失時は早めに再発行依頼
正しく記入すれば、生命保険・iDeCo・住宅ローン控除で年間数万〜数十万円の還付になるケースもあります。
あなたの年収・家族構成から正確な手取り額を計算
手取り計算ツールで詳しく計算する出典:
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ」
- 国税庁「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 国税庁「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
- 国税庁「給与所得者の保険料控除申告書」
本記事の内容は2026年4月時点の税制・年末調整の手続きに基づく一般的な情報提供であり、個別の税務アドバイスではありません。具体的な控除額・記入方法は本人の年収、家族構成、契約内容により異なります。判断に迷う場合は、勤務先の担当者・税務署または税理士にご相談ください。