【結論】育休中の実質手取りは「給付金67% + 社保免除」で通常手取りの約8割相当
「育休に入ったら、生活費は足りるの?」「育児休業給付金って実際どのくらいもらえるの?」と不安に思っていませんか。育児休業中は給与がストップする一方で、給付金や社会保険料免除といった公的サポートが手厚く用意されており、想像よりも家計のダメージは小さく抑えられるケースが大半です。
結論からお伝えすると、育休中の実質手取りは通常時の手取りのおよそ8割程度になります。育児休業給付金が休業前賃金の67%(181日目以降は50%)支給されることに加え、健康保険料・厚生年金保険料が労使ともに全額免除されるためです。給付金は所得税が非課税なので、額面67%でも手取りベースでは約8割相当の効果があります。
ただし、住民税だけは前年所得に対して課税されるため、育休中も支払う必要がある点には注意が必要です。
- 育児休業給付金の支給率(67% / 50%)と上限額
- 育休中の社会保険料免除制度の効果
- 住民税が育休中も発生する理由
- 年収400万・500万・600万円別の育休中手取りシミュレーション
- パパ育休・産後パパ育休の活用法
- 復帰後の時短勤務時の手取り変化と養育期間特例
あなたの年収・家族構成から正確な手取り額を計算
手取り計算ツールで詳しく計算する育児休業給付金の仕組み(180日まで67%、それ以降50%)
育児休業給付金は、雇用保険から支給される非課税の給付金です。育休中の家計を支える最も重要な収入源になります。
支給率:最初の180日は67%、181日目以降は50%
育休開始から180日間は、休業開始前6か月の平均賃金の**67%が支給されます。181日目以降は50%**に下がります。
| 期間 | 支給率 | 月額イメージ(休業前月収30万円) |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日目 | 67% | 約20万1,000円 |
| 181日目〜育休終了 | 50% | 約15万円 |
月額上限額(2026年度)
支給額には上限があります。2026年度の概ねの目安は以下の通り(毎年8月に改定)。
- 67%期間の月額上限: 約31万円
- 50%期間の月額上限: 約23万円
休業前月収が約46万円を超えると、67%期間でも上限が適用されます。最新の上限額は厚生労働省の公式資料でご確認ください。
給付金は所得税・社会保険料が非課税
育児休業給付金は所得税が非課税で、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料も控除されません。給与の額面67%相当でも、手取り換算すると通常時の8割前後に達するのはこのためです。
原則として子が1歳になる前日まで支給されます。保育所に入れない等の事情があれば、最長2歳まで延長可能。パパママ育休プラスを活用すれば、夫婦合わせて1歳2か月まで取得することもできます。
社会保険料免除制度(健康保険・厚生年金が免除)
育休中の家計を大きく助けるのが、社会保険料の免除制度です。
免除対象:健康保険料・厚生年金保険料(労使ともに全額)
育児休業期間中は、健康保険料(介護保険料含む)と厚生年金保険料が労働者・事業主ともに免除されます。雇用保険料も給与なし=ゼロとなります。
年金は「払ったことになる」扱い
厚生年金保険料が免除されても、将来受け取る年金額は減りません。免除期間も保険料を納めたものとして年金額計算に反映されます。育休を取ることで老後の年金が目減りする心配はありません。
月収30万円の方の場合、健康保険料・厚生年金保険料の本人負担は合計でおよそ月4.5万円前後。育休1年間で約54万円の負担減となります。給付金とは別に、家計に直接効いてきます。
住民税は育休中も支払い必要(前年所得課税のため)
育休中の家計で見落としやすいのが住民税です。住民税は前年(1〜12月)の所得に対して翌年6月〜翌々年5月に課税される仕組みのため、育休中であっても前年に働いていた分の住民税は支払う義務があります。
育休中の住民税支払い方法
| 方法 | 内容 | 利点/注意点 |
|---|---|---|
| ① 普通徴収に切替 | 自宅に納付書が届き、自分で年4回納付 | 分割で納付できる/忘れずに納付する必要 |
| ② 一括徴収 | 育休直前の給与・賞与から残額を一括天引き | 育休中の納付不要/直前の手取り減 |
何も手続きしないと延滞になるため、必ず勤務先と相談して決めましょう。年収500万円の方の住民税は概ね年20万〜25万円で、月1.7〜2万円程度の負担が継続するイメージです。
育休給付金は非課税なので住民税の課税ベースには含まれません。育休が長引くほど、翌々年の住民税は大幅に減額されます。
年収別 育休中手取りシミュレーション
年収400万・500万・600万円のケースで、育休中の手取りイメージを比較します。
年収400万円のケース
| 項目 | 独身 | 配偶者あり |
|---|---|---|
| 年間手取り | 306.1万円 | 312.5万円 |
| 月間手取り | 25.5万円 | 26.0万円 |
| 社会保険料 | 59.9万円 | 59.9万円 |
| 所得税 | 12.1万円 | 9.1万円 |
| 住民税 | 21.9万円 | 18.6万円 |
| 実効税率 | 23.46% | 21.88% |
※ 東京都在住・30歳・ボーナスなしで試算。概算値のため実際とは異なります。
休業前月収約27万円の場合、育児休業給付金(67%期間)は月額約18万円。社会保険料免除を加味すると実質手取りは月約16〜17万円で、通常時の手取り(月約21万円)の約77〜81%相当です。
年収500万円のケース
| 項目 | 独身 | 配偶者あり |
|---|---|---|
| 年間手取り | 380.1万円 | 387.2万円 |
| 月間手取り | 31.7万円 | 32.3万円 |
| 社会保険料 | 72.3万円 | 72.3万円 |
| 所得税 | 19.0万円 | 15.1万円 |
| 住民税 | 28.6万円 | 25.3万円 |
| 実効税率 | 23.99% | 22.55% |
※ 東京都在住・30歳・ボーナスなしで試算。概算値のため実際とは異なります。
休業前月収約33万円の場合、給付金(67%期間)は月額約22万円。実質手取りは月約20〜21万円で、通常時の手取り(月約26万円)の約77〜80%相当。共働き世帯で最も多い年収帯です。
年収600万円のケース
| 項目 | 独身 | 配偶者あり |
|---|---|---|
| 年間手取り | 449.5万円 | 458.5万円 |
| 月間手取り | 37.5万円 | 38.2万円 |
| 社会保険料 | 88.1万円 | 88.1万円 |
| 所得税 | 27.4万円 | 21.7万円 |
| 住民税 | 35.0万円 | 31.7万円 |
| 実効税率 | 25.09% | 23.59% |
※ 東京都在住・30歳・ボーナスなしで試算。概算値のため実際とは異なります。
休業前月収約40万円の場合、給付金(67%期間)は月額約26万円。実質手取りは月約23〜24万円で、通常時の手取り(月約31万円)の約75〜78%相当。年収が上がるほど給付金の上限に近づくため、相対的な維持率はやや下がります。
50%期間に入ると給付金が大きく下がるため、実質手取りは通常時の60〜65%相当まで低下します。育休後半の家計設計では、貯蓄取り崩しも視野に入れた計画が必要です。
パパ育休・産後パパ育休の活用
2022年10月から、男性の育休取得を促進する**産後パパ育休(出生時育児休業)**が新設されました。
- 取得時期: 子の出生後8週間以内
- 取得期間: 通算4週間(28日)まで(2回まで分割可能)
- 給付金: 休業前賃金の67%(出生時育児休業給付金)
産後パパ育休とは別に通常の育児休業も取得でき、パパママ育休プラスを使えば夫婦で子が1歳2か月になるまで育休を延長できます。
両親がともに67%期間中に取得すれば、世帯としての収入減を最小化できます。父が産後8週間以内に分割取得することで、母の育休期間中の家計負担を和らげられます。
復帰後の手取り変化と時短勤務
時短勤務(例:1日6時間勤務)では、給与がフルタイム比75%程度に下がるのが一般的です。社会保険料・税金も連動して下がるため、手取り減は給与減ほど大きくありません。
| 区分 | フルタイム(年収500万円) | 時短勤務(年収375万円) |
|---|---|---|
| 額面月収 | 約33万円 | 約25万円 |
| 手取り月収 | 約26万円 | 約20万円 |
養育期間特例で年金は「フルタイム扱い」
時短勤務で給与が下がっても、養育期間標準報酬月額特例を申請すれば、子が3歳になるまでの間、従前の標準報酬月額で年金額が計算されます。給与が下がっても老後の年金は減らない仕組みです。
養育期間特例は自動適用ではありません。本人の申請が必要です。時短勤務に切り替えるタイミングで勤務先に相談し、必ず手続きしましょう。
やっておきたい手続きチェックリスト
育休に関する手続きはタイミングが重要です。漏れがあると給付や免除が受けられなくなるリスクもあります。
産休・育休前
- 勤務先への妊娠報告: 産休・育休の予定を共有
- 育児休業申出書の提出: 育休開始日の1か月前までに勤務先へ
- 住民税の納付方法の選択: 普通徴収・一括徴収のいずれかを勤務先と相談
育休開始後
- 育児休業給付金の申請: 勤務先経由でハローワークへ
- 社会保険料免除の届出: 勤務先が年金事務所・健保組合に提出
- 児童手当の申請: 出生から15日以内に役所へ
復帰時
- 養育期間標準報酬月額特例の申請: 時短勤務に切り替えるなら必須
児童手当は出生(または転入)の翌日から15日以内に申請しないと、遅れた月分は遡って受給できません。出産直後で慌ただしい時期ですが、書類は早めに準備しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 育休中、実際の手取りは通常時の何割になりますか?
育児休業給付金67%期間は、社会保険料免除も含めると通常手取りの約78〜81%相当になります。50%期間は約60〜65%相当に下がります。住民税の支払いは継続するため、完全な比率ではない点に注意しましょう。
Q. 育児休業給付金には所得税はかかりますか?
かかりません。育児休業給付金は所得税・住民税ともに非課税。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料も控除されないため、額面額がそのまま振り込まれます。
Q. 育休中も住民税を払うのはなぜ?
住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税される後払い方式だからです。育休中でも、前年に働いていた分の住民税は支払う義務があります。逆に、育休が長引けば翌々年の住民税は大幅に下がります。
Q. パートタイマーでも育児休業給付金を受けられますか?
雇用保険に加入しており、育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あれば受給できます。勤続1年以上でなくても、要件を満たせばOKです。
Q. 出産手当金と育児休業給付金は両方もらえますか?
両方受け取れます。出産手当金は健康保険から産前6週間〜産後8週間に支給され、育児休業給付金は雇用保険から産後8週間以降の育休期間に支給されます。期間が重ならないため両方受給可能です。
Q. 復帰後の時短勤務で手取りはどれくらい下がりますか?
年収500万円の方が時短勤務(給与75%)に切り替えると、手取りは月26万円→20万円程度(約23%減)になるイメージです。社会保険料・税金が連動して下がるため、給与減ほど手取りは減りません。
まとめ
育児休業中の手取りは、育児休業給付金(67%・50%)と社会保険料免除によって支えられ、通常手取りの約8割相当を維持できる仕組みになっています。住民税の継続支払いには注意が必要ですが、長期的にみれば翌々年の負担は軽減されます。
育休手取りで押さえるべき3つのポイント:
- 育児休業給付金は180日まで67%、それ以降50%。所得税・社会保険料が非課税のため手取りインパクトは大きい
- 社会保険料免除で月4〜5万円の負担減。年金額は「払ったことになる」扱いで将来の年金も減らない
- 住民税は育休中も継続支払いが必要。代わりに育休が長引くと翌々年の住民税は大幅減
復帰後の時短勤務では、養育期間標準報酬月額特例の申請を忘れずに。まずは現在の年収から育休中の手取りシミュレーションを行い、家計設計の見通しを立てましょう。
あなたの年収・家族構成から正確な手取り額を計算
手取り計算ツールで詳しく計算する出典:
- 厚生労働省「育児休業給付」
- 日本年金機構「育児休業期間中の保険料免除」
- 厚生労働省「育児休業制度」
本記事の内容は2026年4月時点の制度に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務・社会保険アドバイスではありません。具体的な給付額・手取り額は本人の年収、勤務先の規定、健康保険組合の取扱いにより異なります。育児休業給付金の上限額は毎年8月に改定されるため、最新情報は厚生労働省・ハローワークの公式情報をご確認ください。重要な意思決定の前には、勤務先の人事担当または社会保険労務士等の専門家にご相談ください。